拍手ログ02

学ヘタ設定の英普話です。イギリスが生徒会長でプーは不良?みたいなかんじで…
拍手にアップしてたものにかなり加筆してます(さくのビフォーアフターの間を埋めるアッーなところとか)
オッケーなかたのみどうぞ






























 

President's play

「誰の許可取って、ンな格好してんだ、あぁ?」
 猫のような眼に剣呑な光を宿して、イギリスは足を踏み出した。対峙するプロイセンは、高価なペルシャ絨毯を毛羽立たせながら後ずさる。イギリスがふたたび一歩前へ踏み込んだ。距離は広がらない。
「おい聞いてんのか? なんだその服装は」
 両手は腰に添えて眉は思いきりしかめ、口元にはどす黒い笑み。注意というよりは、脅しに近い。
「おっ……俺の勝手だろ」
 プロイセンはたじろぎながらも反論した。一歩引けば二歩詰められる。なぜ、こんなことに。
「『勝手』でおいそれと許したら、規則なんてもんは必要ないだろうが」
 ――簡単なことだ。
「学園規則、服装の項にある。本学園の生徒は指定の制服、ヨーロッパクラス男子はブレザー、ネクタイ、スラックス着用のこと。本学園認可店のパーカー以外は禁止。カッターシャツの下は無地のホワイト、グレー、ブラックのシャツのみ着用可能、カラーシャツは禁止。カッターシャツの第2ボタンから下は留めること。スラックスの腰穿き禁止。アクセサリーの類いは禁止。スニーカーの踵の履き潰し禁止。派手なウォレットチェーンは禁止。本学園の風紀を乱す生徒には直ちに罰則を課す。……生徒会が、な」
 イギリスは玲瓏な声で学園規則を淀みなく述べる。仔細までそらんじることができるのは、生徒会長であるがゆえ、だろう。そう。
「……………」
 プロイセンは服装検査に引っ掛かったのだ。風紀委員長のおっとりしたお坊ちゃんが行う月に一度の定例検査ではなく、生徒会のトップが自ら取り仕切る、厳しい厳しい抜き打ち検査に。
 ――面倒くさいのに捕まっちまった。
 仁王立ちでこちらをねめつけるイギリスに聞こえぬよう、プロイセンは舌を打った。全身から刺々しい邪気全開のオーラを出す彼には、今はプロイセンの何もかもが気に食わないに決まっている。
 好き放題に崩した服装のせいで即刻アウトとなったプロイセンには「放課後、生徒会長室に来るように」という通達が全校放送で流された。ある意味では死刑を言い渡されるよりもきつい。そのせいで今、イギリスと室内にふたりきり、なのだから。
「それとも……そこまでして俺の目に留まりたかったのか?」
 傲慢極まりない台詞をしれっと告げて、イギリスは嘲う。もう一歩、と引き下がったプロイセンの背が、ついに扉にぶち当たった。追い詰められたのだ。先ほど入室した際になぜドアを閉めてしまったのだと数分前の自分を恨んでも遅い。しかし、退路は背にしかない。ノブに手を掛け、回す前に……確実に追い付かれる。

 そもそも。たかだか二、三の風紀違反(といってもプロイセンの違反は相当数なのだが)くらいで逃げる必要などないのだが、今回ばかりは勝手が違う。お偉い生徒会長さまは自由になりすぎる生徒たちの服装を憂いていらっしゃるようで、殊更男子生徒には容赦がないと評判だ。ただの風紀検査と侮ってはいけない。校門前で彼のお眼鏡に叶った生徒は、奉仕活動という名の小間使いとして徹底的に雑用を言い付けられるのだという。その上内申書にも悪い方向で響くというから、生徒たちは目立ちすぎる制服の改造はしない。
 イギリスはお上品なお顔立ちに似合わず、お汚いお遣り口で人をお貶めるのがお得意らしい。彼には逆らってはいけないという暗黙のルールが学園内にはあった。……そういえば、裏でえげつない商売をしているとも聞く。それが何なのかプロイセンは考えたこともなかったが。

 距離がつまる。プロイセンが萎える気持ちを隠すように伸ばしたはずの背筋が、訳もなく震えた。こちらを睨み上げる生徒会長様の派手な眼には、有無を言わせぬ力がある。
「……おまえみたいなやつには、躾、が必要だよな」
 眼前に迫った手のひらに、視界と両腕を塞がれた。避ける暇も隙もなかった。
 ガチャリ。遠くで、ドアの錠が落ちる音が聞こえた。


アッー\(^o^)/


 ――息が続かない。声が漏れる。耐えるように唇を噛むと、途端に息苦しくなる。
かといって声を上げたい訳ではないのだから、結局のところ、プロイセンはおかしな呻き声混じりの荒い呼吸を繰り返すしかなかった。
「……なんだ? おまえ」
 感度いいな。
 イギリスがくつくつと笑いながらプロイセンを覗き込んできた。熱に浮かされて混濁した赤眼からは、反応らしい反応は得られない。戯れにイギリスが絡めた指に力を込めると、体全部がびくりと跳ねてくずおれた。
「こ、の、変態が…っ」
 だが、プロイセンは倒れ込むことなく上半身を跳ねさせるだけだ。あちらこちらを戒められて体の自由がきかないのだった。きつく拘束された手首が、ぎちりと嫌な音を立てる。
「変態? 慈愛深き生徒会長様の間違いだな。俺は直してやってんだろうがよ、おまえの違反を」
 ――学園規則、服装の項にある。本学園の生徒は指定の制服、ヨーロッパクラス男子はブレザー、ネクタイ、スラックス着用のこと――
「ことごとく無視しやがって」
 そう吐き捨てたイギリスの口元には、愉悦の色が浮かんでいた。
 捕らわれた視界と腕におののくプロイセンの無防備な腹に、一撃を見舞ってから。イギリスはプロイセンの背をドアに預けさせ、その体を暴いていった。食らった突きが見事に急所を仕留めていたせいで抵抗できなかったプロイセンは、「風紀違反」の衣服を全て中途半端に剥ぎ取られてしまっていた。ほどいたネクタイを両の手首の戒めとし、イギリスが纏めてプロイセンの頭の上で固定する。頭を抜いてからたくし上げたカラーシャツが、肘の辺りに溜まってわずかな身動ぎも封じる。
「……………」
 たったそれだけの拘束具で、プロイセンが手を動かすのは不可能になった。だらしなく腰で穿いたスラックスも、ベルトを外してずりおろされてしまえば膝から下の動きを奪う。抵抗できぬように、イギリスはわざと全ては脱がせないでおいたのだ。
「…は……ッ…」
 晒されたプロイセンの中心に指を絡めたイギリスが、その動きを再開させる。何度昇りつめても与え続けられる刺激は望むと望まざるとに関係なく欲望を引き出し、体温を上昇させる。我慢ならずぶちまけた熱はプロイセンの腹や腿や絨毯を白く濡らし、青臭い臭気を室内に纏わりつかせる。プロイセンはイギリスによって躾という名目で無理矢理犯されていた。
「ったく、何のために規則があると思ってんだてめえは。違反者を罰する生徒会の苦労も知らねえで」
 苦労してんなら止めちまえ、そう言いたかった口からは殺したかった類いの呻きが漏れるのみで、プロイセンは喘ぎたがる声を必死に飲み込んだ。噂では、生徒会長は風紀違反者に雑用ばかりの奉仕活動を命じるという話だったが、これでは同音異義の「奉仕活動」ではないか。しかも奉仕されるのが違反者でするのが会長とは、予想外にも程がある。しかし、どちらにしろプロイセンにとっては、イギリスがご奉仕の大好きな変態であることには変わりない。
「あの、リボンの子も…ッ、そう、やって、レイプ…した、ん、だろ」
「はぁ?」
 途切れ途切れの反論に、イギリスが手を止める。
「馬鹿かおまえ。俺にだって選ぶ権利はある」
 言外に手を出していないことを含ませたイギリスに、プロイセンは腰に溜まる熱に苛まれながらも疑問を抱いた。イギリスが最近使役し始めたアフリカクラスの少女。首には分かりやすいほどの首輪がはまっていたから、当然のように彼が体ごと占領したのだと思っていた。彼女とはまだ未通のくせに、プロイセンには手を出したのはやはり、イギリスが特殊な性癖を持ち合わせているからだろうか。
 上下に擦るのを止めてもプロイセンのそれに手を添えたまま、イギリスが喉を鳴らす。きつい角度で上を向いたそれは、隠しきれぬ快楽に涙を流し続けていた。
「しっかし、威勢がいいな。こっちも」
「……てめぇの顔に、掛けてやろうか、ホモ野郎め…っ…」
「なんだ、そういうのが好きならお口でシてやろうか?」
 嗜虐者の笑みでイギリスがプロイセンを射抜いた。赤い舌がちろりと上唇を舐め上げる。ほとんど自由の効かない体をよじって、プロイセンは上気した顔を歪めた。
「誰が……!」
「悪いがな、『俺』に金積んでもシてもらいたいってやつはいるぜ」
 特殊性癖を持つ男には似たような男が集まるということか。プロイセンには与り知らぬ世界だ。見返りがなけりゃくわえたくもねえがな。その一言で、プロイセンは会長の行う「えげつない商売」の真相を悟った。
 イギリスは皮肉げな笑みを崩さないまま、勃ち上がったプロイセンのそれをゆるりとなぞる。ひく、と腰が引けた。何度果てたか忘れるくらい、イギリスは執拗にプロイセンを責めていた。
「だまれ、この、クソが……ッ」
「誰に向かってンな口聞いてんだ?」
「ぁ…は……くッ…ぅ」  口調とは真逆の、実に優しげな愛撫が再開される。体温が急上昇した。プロイセンのイイ所ばかりを掠めてひたすらに放埒を促す動きに、元より快楽に従順にできているそこは涎を飛ばして喜んだ。他人から与えられる快楽は、自分でするのとは段違いの熱を生む。上げぬように噛みしめた甲斐なく、意味のない甘い声がプロイセンの喉からこぼれ出ていく。
「あぁ、うっ………は…っ!」
 ほどなくして迎えた絶頂で、プロイセンの思考はますます不明瞭になっていく。荒い息の塊を吐き続けるプロイセンの顔は、涙と涎とで余すところなく汚れていた。
 イギリスが己の指に飛び散った白濁をプロイセンの口に押し付ける。出したばかりのそれは、すでに粘りを失っていた。本来なら顔に近付けたくもないものを無理に含まされて、吐き気がこみ上げる。それでもプロイセンは抵抗らしい抵抗ができずにいる。脳が痺れていた。
「ほんとに感度いいな。面白い、もっと遊んでやるよ」
「……も、や……」
「ばぁか。てめえに拒否権があると思うなよ。違反者が」
 弱々しい拒否は華々しく却下される。近付いてきたイギリスの舌に、塩辛いであろう頬をべろりと舐め上げられた。耳殻を噛まれ、直接鼓膜に吹き込まれる。
「いいか」
 おまえはヤられるしかねえんだよ。俺の命令は絶対だ。


(20081207-20091207)